赤ちゃんとママのための防災セットについて、被災経験のあるママ、専門家の先生に聞いてみました。
『赤ちゃんとママを守る防災ノート』より抜粋
参加者:吉田穂波先生、芳賀唯未さん、菅野藍美さん、佐藤まりこさん
---今回見て頂いた防災セットですが、みなさんどう思われましたか?
- 佐藤
- 人気ブランド「TOMS」のリュックですね。いかにも防災用という感じじゃなく、3色展開で好きな色が選べるところがうれしいです。
- 吉田先生
- リュックには名前を書いておけるネームタグをつけてもらったんですよ。
- 芳賀
- 被災先では、どれが自分の荷物か分からなくなったりしますからね。私は、お水もお湯がなくても食べられる非常食が3日分も入っているのが助かるな、と思いました。
- 菅野
- うちの子は、このエイデンアンドアネイのマルチケットの肌触りが大好きなんですよ。結構大判だから、お昼寝のときにちょっとかけてもいいし、クリップで服に止めれば授乳ケープにもなるし、本当に便利です。
- 佐藤
- やっぱりおしりナップは必需品だから、入っていると助かります。
- 菅野
- ベビーローションは、保湿だけじゃなく、汚れを拭くのにも使えますよね。
- 芳賀
- それと、マスクがすごく重宝しますよ。被災地では埃もひどいし、火事で煙が立っていることもあるし。季節によっては花粉も気になるし、特に体育館が避難所になっていると、すごく空気が悪いんです。インフルエンザや風邪などのウィルスを防ぐためにも、マスクはとても大切だと思います。
- 佐藤
- あと、こういう赤ちゃん用のお菓子があるのは助かります。泣いたりぐずったりして周りが気になるときも、おもちゃがたくさんあるわけじゃないですし。
- 吉田先生
- お母さんが、自分自身を癒すものも大切だと思いますよ。お母さんがイライラすると、子どもに伝わりますからね。例えば、お母さんも赤ちゃんも使えて、シュッとするだけで気分が変わるアロマミストスプレーとか。それと私は、子どもの癒しになるよう、ウノとやトランプも防災セットに入れています。
- 菅野
- ここに入っていなくても、自分で必要だと思うものは追加しておくといいですよね。例えばゴミ袋とか。段ボールにゴミ袋を入れると、ベビーバス代わりになりますから。
- 芳賀
- ただ防災セットを用意して完了ではなく、そこに家族に必要なものをプラスアルファしていくことが大事なんですね。
- 吉田先生
- 私たち母親は、子どもが空腹だかとか、泣き止まないとか湿疹がひどいとか、そういう状態を見るだけで気持ちがかき乱されてしまったりします。だから、万が一に備えれば備えるほど、自分たちの気持ちがコントロールできると思います。
- 芳賀
- 普段子どもとお出かけするときだって、直前になって「あれ忘れた!」「あ、これも!」ってなるじゃないですか。日常でさえそうなんだから、非常時はもっとそうなる。東日本大震災のときは、地震から津波が来るまでたったの30分だったので、荷物のことなんて考える余裕も、家に戻っている時間もありませんでしたから。
- 佐藤
- 私も、東日本大震災まで全く用意していなかったので、小さい子どもを連れての避難というのはすごく大変だと実体験しました。何かあってからじゃなく、何かある前の冷静な状態、いろいろシミュレーションして対策をしておけば安心だと、心から思います。
- 吉田穂波 先生
- 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 准教授、産婦人科医、医学博士、公衆衛生修士。1998年三重大学医学部卒業。2004年名古屋大学大学院にて博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務などを経て、2010年ハーバード公衆衛生大学院修了。現在5児の母。
- 芳賀唯未さん
- 東日本大震災では、宮城県気仙沼市で被災し、実母と家を亡くす。当時9ヶ月の長男を連れ、車で病院へ向かう途中、地震に遭遇。病院や親戚の家で数日間避難し、その後、東京へ転居。栄養失調を乗り越え、産後ドゥーラとして活躍中。現在3児の母。
- 菅野藍美さん
- 東日本大震災では、福島県福島市で被災。生後1ヶ月の娘の授乳をして、おむつを替えているときに地震に遭遇。ライフラインが途絶え、インターネット回線のSNSなどを巧みに活用し、さまざまな情報を得て行動。その後、東京へ転居。現在3児の母。
- 佐藤まりこさん
- 東日本大震災では、福島県いわき市で被災。地震直後、3才と1才の息子が保育園だったため、急いで迎えにいく。娘も東京からいわき市に遊びにくる予定だったが、中止。5日間自宅で過ごし、関西へ一時避難。原発の不安から2012年に東京へ転居。
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